ボーカルの「サ行」や「シ」「チ」「ツ」が耳に刺さる音は、歯擦音(しさつおん)と呼ばれます。 EQで高域を丸ごと削ると声全体がこもってしまうので、刺さった瞬間だけ高域を下げるのがディエッサーの役目です。 ここでは、今も無料で手に入るディエッサーを4つ、仕組みの違いが分かるように紹介します。 価格と配布状況は、2026年9月27〜28日に各社の公式ページで確認しました。
まず結論:どれから試す?
| 目的 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| とにかく簡単に | T-De-Esser 2 | つまみが少なく、狙う帯域を選んで強さを決めるだけ |
| 細かく追い込みたい | TDR Nova | 帯域・幅・かかり方を自分で決められるダイナミックEQ |
| 自然さ重視 | DeEss(Airwindows) | 周波数ではなく音の変化の速さで判断する独特の方式 |
| 新しい方式を試したい | Oppressor | ぶつかる帯域だけを下げるスペクトル型。ディエッサーとしても使える |
T-De-Esser 2(Techivation)
操作の少なさで選ぶならこれです。4つの帯域から狙う場所を選び、強さと鋭さを決めるだけで、サ行が目立たなくなります。 上位の有料版もありますが、無料版だけで歌ってみたのボーカルには十分なことが多いです。 ダウンロードには Techivation のアカウント作成が必要です。
TDR Nova(Tokyo Dawn Records)
本来は「ダイナミックEQ」と呼ばれる、音量に応じて効き方が変わるEQです。 高域の帯域を1つ作り、しきい値を超えたときだけ下がるように設定すると、ディエッサーとして使えます。 帯域の位置と幅を自分で決められるので、「シ」だけ強い、「ツ」だけ強いといった声のくせに合わせやすいのが長所です。 同じプラグインで、こもりや低域のふくらみの処理もできるので、1本入れておくと出番が多くなります。
DeEss(Airwindows)
つまみが3つだけの、とても小さなディエッサーです。 一般的なディエッサーが「特定の周波数の大きさ」で判断するのに対して、DeEss は「波形の変化の速さ」で歯擦音を見つけます。 そのため、かけても声の明るさが残りやすく、薄くかけて自然に整えたいときに向いています。 オープンソースで、アカウント登録も不要です。
Oppressor(Rue Blose)
2026年9月に出たばかりの、スペクトル型のサイドチェーンコンプです。 本来は「ボーカルとぶつかる帯域だけ、伴奏側を下げる」ための道具ですが、自分自身の音でかかるように設定するとディエッサーとして働きます。 入手は Gumroad の投げ銭式で、0ドルでも受け取れます(メールアドレスなどの入力が必要です)。
歌ってみたでの使い方のコツ
- ボーカルの処理の順番:ピッチ補正 → EQ → コンプ → ディエッサーの順に置くのが基本です。コンプで持ち上がった歯擦音を、最後にまとめて抑えられます。
- かけすぎに注意:強くかけると「サ」が「ハ」のように聞こえ、滑舌が悪く聞こえます。刺さる瞬間だけ 3〜6dB ほど下がる程度から始めるのが無難です。
- ハモリやダブルにも:重ねたトラックの歯擦音は積み重なって目立ちます。メインより少し強めにかけると、全体がすっきりします。
- 聴き比べは同じ音量で:ディエッサーをかけると少し音量が下がるので、オンとオフを同じ音量で比べると判断を誤りません。