ピッチ補正は、ボーカルの音程のずれを直す処理です。歌ってみたでは、ほぼすべての MIX で最初に行う作業です。 ピッチ補正のプラグインには大きく2つのタイプがあり、どちらを使うかで作業の仕方も仕上がりも変わります。 無料のものは、2026年9月28日に各社の公式ページで配布を確認しています。
2つのタイプ
| タイプ | しくみ | 向いていること |
|---|---|---|
| 自動(リアルタイム) | 選んだキーの音階に、流れてくる声を自動で寄せる | 手早く安定させる/いわゆる「ケロケロ」の効果 |
| 手動(グラフィック) | 録音を1音ずつ画面に表示し、音程・長さ・揺れを手で直す | 自然さが大事な歌ってみた・細かい修正 |
歌ってみたの依頼 MIX では、手動タイプで1音ずつ直すのが一般的です。自動タイプは、仮 MIX や演出として使われます。
無料のピッチ補正
Graillon(Auburn Sounds)無料版
自動タイプのピッチ補正と、声の高さを変える処理ができます。公式でも無料版が配布されていて、音程補正の機能が使えます。 補正の速さを遅めにすると自然に、速くするとケロケロした効果になります。 - 公式:auburnsounds.com
MAutoPitch(MeldaProduction)
シンプルな自動タイプのピッチ補正です。キーとスケールを選ぶだけで、その音階に寄せてくれます。 - 公式:meldaproduction.com
DAW に付いている機能も確認
DAW によっては、手動タイプのピッチ補正が最初から付いています(例:Cubase の VariAudio、Logic Pro の Flex Pitch)。お使いの DAW の機能を先に確かめると、買わずに済むことがあります。
有料のピッチ補正(定番)
Melodyne(Celemony)
手動タイプの定番で、歌ってみたの MIX 師にも広く使われています。録音を音符のような形で表示し、音程・タイミング・揺れを1音ずつ直せます。 機能の違う複数のエディションがあり、上位ほどできることが増えます。 - 公式:celemony.com
エディションの違い(上に行くほど機能が増えます):
| エディション | できること | 向いている人 |
|---|---|---|
| Essential | 単音(1人の歌声など)の音程とタイミングの基本的な修正 | 歌ってみたの MIX をこれから始める |
| Assistant | 単音の素材で、Melodyne のすべての編集ツールが使える | 細かい揺れやフォルマントまで直したい |
| Editor | Assistant の機能に加えて、和音(ギター・ピアノなど)の中の1音も直せる | 楽器の録音も扱う |
| Studio | Editor の機能に加えて、複数のトラックを並べて同時に編集できる | ハモリの多い曲を効率よく直したい |
歌ってみたのボーカルだけなら、まず Essential で十分なことが多く、足りなくなったら上位へアップグレードできます。
Auto-Tune(Antares)
自動タイプの代名詞です。複数のエディションがあり、上位版では手動で直す画面も使えます。ケロケロした効果を狙うときの定番でもあります。 - 公式:antarestech.com
RePitch(Synchro Arts)
手動タイプのピッチ補正で、自然な仕上がりを重視した作りです。同じメーカーの VocAlign(タイミング合わせ)と組み合わせて使われることが多いです。 - 公式:synchroarts.com - 関連記事:ボーカルのタイミング合わせ「VocAlign 7」登場
有料のピッチ補正は、国内のお店でも円で買えます(例:イケベ楽器店のピッチ補正・ノイズ除去プラグインの売り場(PR))。また、セールの常連です。値下がりしたときは 今週のボーカル向けセールまとめ でお知らせします。
選び方
- これから歌ってみたの MIX を始める:まず DAW 付属の機能か、無料の Graillon で「ピッチ補正とは何か」を体験する
- 依頼を受けて MIX する:手動タイプ(Melodyne・RePitch など)が事実上の必須。1音ずつ直せないと、自然さを保てません
- ケロケロした演出がしたい:自動タイプ(Auto-Tune・Graillon)で補正の速さを最速にする
直しすぎに注意
- 音程を真ん中に寄せすぎると、機械的な声になります。語尾のしゃくりやビブラートは残すのが自然に聞こえるコツです
- ハモリは、メインの音程に合わせて直さないと、かえって濁ります
- 直したあとは、必ずオケと一緒に聴いて判断します